[評釈]エレコム対ブラザー工業事件
TKCの新・判例解説Watchで「互換品の不当な抱き合わせ販売が認定された事例」が公表されました。
https://www.tkc.jp/law/lawlibrary/commentary/
この評釈の題材となった事例は今年9月末に公表された地裁判決です。
判決では、ブラザーによる互換品インクカートリッジへの対応を除去するタイプの設計変更が抱き合わせにあたると判断されています。単なる製品の仕様変更等が抱き合わせにあたるか否かという議論は、従来から米国で「技術的抱き合わせ(technological tie)」として論じられてきた点でもあります。現在は世界的にいわゆる技術的抱き合わせについては例外的な場面でのみ違法性を認める立場が有力でありつつ、明確な基準は確立されていない状況のなか、本件では明示的に係る行為が抱き合わせに該当する場面が示されたことを考えると、非常に特徴的な判決です。
紙幅の都合で言及はできませんでしたが、このタイプの行為は略奪的イノベーション(predatory innovation)という枠組みで論じられることもあり、近年のデジタルプラットフォーム関連の議論にも通ずる興味深い論点を扱った重要な判決ともいえます。
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